簡単に言えば、ムラになりやすいからです。
今回はあくまでもオシャレ染め(髪を明るくするカラー)の事です。
ムラに染まった場合に修正することが不可能な場合も中にはあります。
長年美容師をやっている人ならそんな方に何人も当たっていると思います。
実際にヘアカラーは非常に繊細な技術が必要な場合も出てきます。
その技術の差がムラにつながる場合もあります。
私個人の意見ですが、美容室のヘアカラー剤と市販で売っているヘアカラー剤に大差ないと考えています。
むしろ市販のヘアカラー剤の方が、かなり改良されてセルフヘアカラーに適した形になっているので、かなりの企業努力が感じられます。
それでもセルフヘアカラーをおすすめしないのはやはりムラになりやすいからです。
どんな時にどんな場合ムラに染まってしまうのか?
1.クスリの付けムラ
2.温度の違い
3.薬剤の判断ミス
大きく分けてこの3つです。
非常に単純なこの3つなんですが、様々な用途があります。
クスリの付けムラについて
美容室では、大体1~2cmぐらいのスライスをして薬剤を塗布しています。
その際に薬剤が大量に付いた場所と少ない場所では、染まり方にムラが出ます。
また、根元中間毛先と場所によって付けムラが出てしまう場合もあります。
なので、市販のヘアカラー剤は、泡状の物も多くあり出来るだけ浸透がよくなる仕掛けをしている商品も多いです。
泡状の市販ヘアカラー剤は、初めて染める場合は非常に優れた商品ですが、2回目以降のリタッチなどにはあまり向かない商品です。
美容室の場合細かいスライスで薬剤を塗布して更に十字スライスでチェックします。
十字スライスでチェックとは、例えば横スライスで薬剤を塗布した場合に縦スライスでムラがないか確認します。
その他にも薬剤を均等に伸ばすコーミング方法など美容師の技術もかなりあります。
クスリの付けムラについてはやはりセルフヘアカラーでプロの技術と同じにすることは難しいところです。
温度の違いについて
ヘアカラー剤は温度が高いほど作用が強くなることがあります。
人の髪の毛は基本体温はありません。
でも頭皮付近は体温に近い温度があるわけです。
その場合、全体に均一に薬剤を塗布しても根元付近は温度が高く明るくなってしまう事もあります。
なので、バージンヘアーなどを染める場合、美容師は根本1~2cm空けて時間差で塗布することもあります。
これほど繊細なのがヘアカラーです。
薬剤の判断ミス
これは実際に美容師でも判断ミスすることもあります。
それはなぜなのか?
人の元々の髪の色素量や染まりやすい染まりにくいなどによっても変わってきます。
例えば、一般的な日本人の髪の色黒い髪ですが、黒でもトーン(明るさ)があります。
基本日本人の黒い髪は5トーンぐらいです。
トーンは数字が上がれば明るくなり下がれば暗くなります。
日本人の中にも自毛が少し明るい6トーンの人もいるし、凄く暗い3トーンの人もいます。
その地毛によって同じ薬剤でも染まる明るさが変わってきます。
一概に言えませんが、簡単に説明すると、8トーンの明るさになる薬剤を使用した場合
元の髪の毛の色が5トーンの場合8トーンになりますが、3トーンの人は、6トーンぐらいにしか染まりません。
逆に元が6トーンの人は9トーンになり明るくなってしまう場合もあります。
薬局の市販ヘアカラー剤コナーでもカラーチャートがありますが、それを参考に購入してもその色にならない場合もあります。
それは、この貴方の地毛のトーンによって異なってくるからです。
これほどややこしく難解なのがヘアカラーなのです。
自宅でセルフカラーでリタッチをしようとした場合
例えば、根本3cm髪が伸びてリタッチをしようと思って薬剤を選ぶリスク
根本だけ薬剤を塗る技術
根元の温度など、単純ですが、様々な要素でムラに染まる確率が高いからです。
根本3cmだけ塗る技術なんて普通の人は出来ません。
では、全体にまた同じように塗ればいいのではないか?
確かに根本3cmぐらいならそれもありです。
ただ、毛先に薬剤を付ければその分髪も痛みます。
美容室でリタッチをしようとした場合
先ほどと同じ条件の場合根本3cmだけに薬剤を塗布することが可能です。
また、毛先の色味を入れる場合
オキシを3%にするなどして、ダメージを軽減することも可能です。
このオキシを3%にする事や事前のトリートメントなどの違いで、市販の薬はゴワゴワになるなどの評判があるわけです。
普通に美容室のカラー剤でもゴワゴワになります。
これは、しょうがない事ですが、美容室では出来るだけそれを軽減する努力をしているはずです。
ムラに染まった場合治せるのか?
これも限度はあります。
治せる場合と治せない場合があります。
治せない場合の例としてヒョウ柄のようなムラになった場合です。
ヒョウ柄のようなムラの場合治す方法として数種類ありますが、いくつか例を挙げます。
まず全体を黒く染めてしまう事です。
これは一番簡単で単純ですが、時間がたちカラー剤の色素が抜けてくれば、またムラな情態に戻ります。
他にもある程度全体を明るくして、その後少し暗くする方法
これはかなり複雑で面倒です。
正直治せるのか?も難しいがうまくいっても時間がたてばカラー剤の色素が抜けてすぐに明るい色になってしまいます。
髪の毛のダメージもかなりあるし継続するのも難しいです。
例えば、仕上がりは8トーンにしたいけど、ムラの一番明るいところが10トーンで、暗いところは5トーンの場合
一度12トーンぐらい色を明るくして、その後8トーンに下げます。
2か月後また12トーンぐらい色に戻り根元のリタッチも11~12トーンまで明るくして8トーンに下げます。
これが延々にループするわけです。
髪は傷むしゴワゴワになるでしょう。
でも真っ黒は嫌
これも美容師泣かせのループです。
最悪こんな事になってしまうので美容師がセルフカラーをおすすめしない理由です。
セルフカラーを成功するポイント
あまり明るくし過ぎない事です。
7~8トーンぐらいに抑えておきましょう。
それ以上だとムラが目立ちます。
またヘアカラーは時間がたつと色素が抜けて明るくなるので、抑えめにしておきましょう。
購入した市販のヘアカラー剤は必ずメモや写真などで画像を残し記録しましょう。
同じ色や同じ明るさを理解して次会色を変えるのもありですが、明るさを1トーンぐらいの変化にしておきましょう。
いきなり明るくするのはあまり進めません。
一度カラーをしたら最低1か月はおきましょう。
カラー剤の色素が残っている情態で別の色を塗ると色の変化が読みにくいからです。
例えば、赤系の7トーン市販カラー剤で染めて赤の色が気に食わないので変えたい場合
マット系(グリーン)のカラー剤を使えば、赤系の色は打ち消せますが、希望の色はでません。
逆に赤と緑が混ざり黒っぽくなってしまう場合も稀にあるかもしれません。
それぐらい色味のコントロールもややこしいという事です。
セルフカラーなら美容室の半額以下で出来ますが、デメリットも多いという事は理解した方がいいでしょう。